那覇行政書士事務所

建設業許可取得後に目指す「公共工事入札」 

建設業許可を取得すると、民間工事だけでなく沖縄県や各自治体の公共工事(官公庁発注工事)への参加も目指せるようになります。
 ただし、単に建設業許可を持っているだけでは入札できません
以下のステップを踏む必要があります。 

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入札に必要な主な手続き・流れ

1. 経営事項審査(経審)を受ける

国や沖縄県の各自治体の公共工事に入札するには、経営事項審査(通称:経審)を受けなければなりません。

  • 審査内容:会社の経営状況、施工能力、社会性(法令遵守や保険加入状況)など
  • 審査結果により「総合評定値(P点)」が付与されます
  • P点が高いほど、より大きな工事や上位ランクの入札が可能になります

2. 入札参加資格申請(指名願い)を行う

  • 沖縄県の各自治体や国の機関に対し、「入札に参加したい」という申請を提出します
  • 沖縄県の各自治体の申請先ごとに必要書類や審査基準が異なります
  • 多くの自治体は年1回〜2回受付(時期固定)


経審で評価される主なポイント(点数制度)

項目内容配点イメージ経営状況分析(Y評点) 
→ 財務内容(自己資本比率、負債比率など) | 約400点
技術力(Z評点) 
→ 技術者数、資格、施工実績など | 約500点
社会性等(W評点) 
→ 保険加入状況、法令遵守、雇用安定等 | 約100点
施工能力評点(X評点) 
→ 完成工事高、元請比率、建設業年数など | 約400点


 これらをもとに「総合評定値(P点)」が算出されます。
 P点により、自治体内での業者ランク(A・B・C・Dクラス)が決定されます。


経審P点別 取れる工事規模の目安

経審の総合評定値(P点)は、受注できる工事金額の規模や業者ランクに大きく関係します。
沖縄県・各市町村の基準例をもとに、一般的な目安をまとめます。

総合評定値(P点)想定ランク受注できる工事規模の目安

900点以上 → Aランク | 1億円以上の大型工事も可
750〜899点 → Bランク | 5,000万〜1億円規模の工事
600〜749点 → Cランク | 1,000万〜5,000万円規模の工事
599点以下 → Dランク | 500万〜1,000万円程度の小規模工事


※沖縄県の各自治体ごとに若干基準は異なりますが、概ねこのようなイメージです。

経審でポイント(P点)を稼ぐコツ 

 

【1】Y評点(経営状況分析)を上げるコツ 

経営状況を分析し、自己資本比率や利益率などから得点化されます。 

  • 黒字決算を維持する:赤字が続くと大幅に減点されます。
  • 借入金を圧縮する:自己資本比率が上がると高評価。
  • キャッシュを確保する:現預金の残高が高いと健全な経営と見なされます。
  • 粉飾はNG、税理士と連携して「見せ方」を改善

 

【2】Z評点(技術力)を上げるコツ 

専任技術者の数・資格・経験が大きく反映されます。 

  • 施工管理技士(1級・2級)を確保・育成する
  • 技術者を常勤雇用する(専任登録が条件)
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録する
  • 若手技術者の計画的な資格取得支援

 

【3】X評点(完成工事高・元請比率)を上げるコツ 

過去2年の工事売上高や元請実績などをベースに評価されます。 

  • 元請工事を積極的に受注する(下請だけだと点数が伸びにくい)
  • 工事内容をしっかりと契約書・請求書で証明する
  • 「自社元請」で施工管理を行った実績を記録しておく

 

【4】W評点(社会性など)を上げるコツ 

法令順守、社会保険加入状況、障害者雇用、女性活躍などが評価されます。 

  • 社会保険(厚生年金・健康保険・雇用保険)にすべて加入する(義務)
  • 労働災害防止の取り組み(安全大会、マニュアル整備)
  • 女性技術者や高齢者・障害者の雇用実績があると加点
  • ISOやエコアクション21などの認証取得も加点対象

 

【5】経審全体で有利に進めるコツ 

中長期戦略

  • 決算と経審申請を毎年セットで計画的に行う
  • 技術者や売上を記録としてきちんと残す
  • 税理士や社労士と連携して、経営・雇用の改善を図る
  • 建設業許可と経審を同じ行政書士に依頼して一貫管理する

注意ポイント

  • 高ランク(A・B)になればなるほど、社会性評価(法令順守・雇用保険加入状況など)が重要
  • P点だけでなく、「過去の施工実績」「表彰歴」も加味される場合がある
  • ランクに応じて「指名競争入札」「一般競争入札」の参加資格範囲が広がります

入札時の重要な注意点

沖縄県・各自治体の公共工事を落札した後は、ただ工事を始めるだけではありません。
 落札者には契約義務や保証義務が生じます。

1. 契約書締結義務

  • 指定された契約期間内に「工事請負契約書」を締結しなければなりません
  • 契約内容(工期、工事金額、仕様)を十分確認することが重要
  • 指定様式・電子契約システムを使う自治体もあります


2. 履行保証の提出義務

  • 公共工事では、履行保証が求められることが一般的です
  • 主な方法:
    • 履行保証保険契約の締結(民間保険会社が提供)
    • 契約保証金の供託(通常、契約金額の10%程度)
  • 違約や不履行に備え、自治体はこの保証を求めます


3. 着手・中間・完成検査への対応

  • 工事開始前に「着手届」の提出
  • 工事中の「中間検査」(必要な場合)
  • 完成後の「完成検査」(必須)
  • ※検査に合格しなければ支払いが受けられないため、慎重な施工・報告が必要です


4. 瑕疵担保責任(補修義務)

  • 引き渡し後一定期間内(通常1〜2年)、工事に欠陥があった場合は無償で補修する義務あり
  • 瑕疵担保責任期間中も、元請業者は責任を負います

入札参加資格申請(指名願い)とは?

  • 経審を受けたあと、沖縄県の各発注機関に対して「うちも工事に参加させてください」と申請する手続きです。
  • 提出先例:沖縄県庁、市町村役場、各省庁、沖縄防衛局など

入札参加資格申請に必要なもの(例)

  • 経審結果通知書
  • 建設業許可証の写し
  • 直近の決算報告書
  • 納税証明書
  • 営業所や役員・技術者に関する情報


※沖縄県の各自治体によって様式・添付書類が異なります。


建設業許可・経審・入札のスケジュールイメージ

項目時期目安許可更新(5年ごと)
→ 許可期限の2〜3か月前から準備
経審受審
→ 毎年1回(決算後〜数か月以内)
入札参加資格申請(指名願い)
→ 年1回または2回受付(自治体による)

※【重要】経審を受けないと、入札参加資格申請ができません!

那覇行政書士事務所の経審サポート 

  • 経審事前診断(点数シミュレーション)
  • 技術者の登録/実務経験証明の指導
  • 財務諸表の見直しと利益体質への改善提案
  • 社保加入の制度構築と証明資料整備
  • CCUS登録・女性活躍加点の戦略構築

よくある質問(FAQ)

Q1. 経審を受けるのに必要な資格者はいますか?
A. 技術者(専任技術者)が必要です。施工管理技士等の資格保有者が有利です。

Q2. 経審を受けなければ公共工事に参加できませんか?
A. 原則できません。公共工事を目指すなら経審受審は必須です。

Q3. 経審の点数を上げる方法はありますか?
A. 資本金の増資、資格者の増員、社会保険加入の徹底などでP点アップが狙えます。

那覇行政書士事務所のアフターサポート

 許可取得 → 経審 → 入札参加 → 契約 → 完成検査まで、すべてを一貫サポートします。

  • 契約書内容のチェック
  • 履行保証手続きのサポート
  • 工事進行中の行政対応支援
  • 完成検査対応サポート
  • 次年度の経審・入札資格更新支援



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