2025/06/22

【重要】法務省が「出入国管理及び難民認定法施行規則」の改正案を発表

2024年6月22日、法務省は「出入国管理及び難民認定法施行規則」の改正案を公表しました。今回の改正案には、電子渡航認証制度(JESTA)の導入をはじめ、在留資格審査の透明化行政手続きの効率化など、入国・在留制度の根幹にかかわる内容が複数盛り込まれています。


🔹 改正案の主なポイント

1. 日本版ESTA「JESTA」制度の導入

  • 目的:短期滞在ビザ免除対象国の訪日者に対して、出発前に電子的な入国審査を行う制度
  • 概要
    • 対象者は日本への渡航前に、オンラインで渡航情報・滞在目的・宿泊先等を入力。
    • 入管庁がその情報を審査し、入国の可否を事前に判断。
    • 米国のESTA、韓国のK-ETAなどと同様の制度。
  • 導入予定時期:2028年度中(法整備とシステム構築後)

2. 審査過程の透明化と説明責任の明文化

  • 在留資格変更・更新の審査において、行政手続法に則った説明義務の拡充が検討されています。
  • 拒否事由に対して、「具体的な理由通知」の質を高める方向性が示されています。
  • 外国人・支援者双方の理解を促し、不服申し立てや訴訟リスクの低減を狙うもの。

3. 各種在留手続のオンライン化促進

  • 「在留資格認定証明書交付申請」「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」等のオンライン化対象拡大
  • 法人管理番号を持つ受入企業等について、審査の一部簡略化も導入予定。

4. 難民認定手続の合理化

  • 仮滞在許可中の就労制限緩和、審査日数の標準化、公平性向上策を盛り込む方向。
  • 出入国在留管理庁による第三者機関設置や、複数審査官による合議制の導入も検討段階。


🔹 背景と狙い

今回の改正案は、2023年に成立した改正入管法に伴う実務上の制度整備と、国際的な批判に対応する制度の透明性向上の両面が背景にあります。

  • JESTA導入は、近年の訪日外国人数の増加に対応し、不法就労やテロリスクなどの未然防止を目的とした「事前審査のデジタル化」です。
  • 審査過程の透明化は、ウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件等を契機に求められた「入管行政の説明責任」に応えるものです。


🔹 影響と対応のポイント

短期ビザ関連
→渡航者は事前理解が必要になる(JESTA)
在留手続全般
→審査理由の明確化で申請書類の質が問われる

📝 最後に

本改正案は現在「パブリックコメント受付中(意見募集)」であり、今後の施行規則確定に影響を与える可能性があります。当事務所では、改正内容に即した申請書類作成や手続アドバイスを随時ご提供しております。JESTA対応や、拒否リスク対応、企業支援についてもお気軽にご相談ください。


※原文参考:[法務省 出入国管理及び難民認定法施行規則 改正案 公表ページ(リンク省略)]
 ※情報は2024年7月10日現在のものです。

2025/06/09

【行政書士法改正】業務の制限規定が明確化されます(令和8年1月1日施行)

2025年(令和7年)に公布された行政書士法改正により、業務の制限規定の趣旨がより明確化されることとなりました。これにより、非行政書士による違法行為の抑止が一層強化されます。

行政書士業務に関わる企業・士業・支援機関の皆様は、改めて制度趣旨をご確認ください。

■ 改正の背景と趣旨

これまでも行政書士法においては、行政書士資格を有しない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として行政書士業務を行うことは禁止されてきました。

しかし、現行法の条文には

  • 「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」

という表現がなく、例えば

  • 「会費」「サポート料」「コンサル料」「顧問料」「月額会費」

等の名目で実質的に行政書士業務を行っている事例に対して、法解釈上の曖昧さが指摘されていました。

行政書士会としては従来からこうした行為も違法と解釈してきましたが、国民・事業者の皆様にも分かりやすく明文化する必要がありました。

■ 改正のポイント①

報酬名目に関わらず違法行為を明文化

今回の改正により、行政書士法第19条の2(業務の制限規定)において、以下の文言が新たに明記されました。

「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として行政書士業務を行ってはならない」

これにより、報酬の呼び名・名目に関わらず実質的に報酬を得て行政書士業務を行うことは違法であることが、条文上も明確化されました。


■ 改正のポイント②

両罰規定の導入(法人処罰の整備)

さらに今回の改正では、法人等への両罰規定も導入されました。
これにより、

  • 違法行為を行った個人(非行政書士行為者)
  • 違法行為を行わせた法人・事業者

の双方に対して罰金刑が科される可能性があります。

今後は、法人格を隠れ蓑にした組織的な非行政書士行為も厳しく処罰されることとなります。


■ 施行日

令和8年1月1日(2026年1月1日)から施行されます。

施行以降は、違反行為に対して厳格な適用が行われる見込みです。


■ 実務上の注意点(業界団体・登録支援機関・関連事業者向け)

⭐️ポイント解説顧問料・月額会費等の名目に注意 
たとえ「会費」「サポート費」といった名目であっても、実質的に行政書士業務を提供していれば違法となります。
⭐️他士業・民間コンサル会社との連携にも注意 
無資格のコンサル会社等が実質的に書類作成や官公署提出書類の代行を行うケースはリスクが高まります。
⭐️法人役員・従業員による代理行為
役員・社員が資格なく業務を行った場合、法人も両罰規定により処罰対象となります。
⭐️登録支援機関業務との線引き 
登録支援機関としての「支援業務」と「行政書士業務」の線引きを明確にし、必要に応じて行政書士資格者が適正に関与する体制が重要です。


■ 行政書士制度の信頼性向上のために

今回の改正は、行政書士制度の適正な運用を守るとともに、国民の皆様が安心して専門家のサポートを受けられる制度作りの一環です。
 那覇行政書士事務所でも、引き続き適正な業務運営を徹底し、関係事業者様への情報提供・助言に努めてまいります。

2025/05/25

入国前結核スクリーニング制度が一部国籍で導入開始

2025年6月より、法務省出入国在留管理庁は一部の国籍を対象に「入国前結核スクリーニング制度」を導入します。これにより、日本入国前に結核の非発病を証明する証明書(結核非発病証明書)の提出が義務付けられます。対象となる外国人を受け入れる企業・機関・登録支援機関の皆様は、制度の詳細を把握し、今後の在留資格申請準備にご注意ください。


制度導入の背景

我が国では、近年も結核の新規患者が一定数発生しており、中でも一部の外国人労働者の入国後に結核が発覚するケースが報告されています。今回のスクリーニング制度は、結核の早期発見・国内感染防止を目的に導入されました。


対象となる国籍

入国前結核スクリーニングの対象となるのは、以下の国籍を有する方です。

  • フィリピン
  • ベトナム
  • インドネシア
  • ネパール
  • ミャンマー
  • 中国

※ なお、現時点でインドネシア・ミャンマー・中国については、導入時期は未定となっています。


対象となる在留資格

以下の在留資格で日本に新たに入国・在留しようとする方が対象です。

  • 中長期在留者全般(再入国許可を有する者は除く)
  • 特定活動告示第53号・第54号(デジタルノマドおよびその家族)

※ 現在の居住地が対象国以外の場合(他国滞在を滞在許可証等で証明できる場合)は対象外となります。


スクリーニング対象外となる主な制度(例外措置)

次に該当する制度で入国される方は、当面の間、スクリーニングの提出は免除されます。

  • JETプログラム参加者
  • JICA研修員(長期・短期)
  • JICA人材育成奨学計画(JDS)留学生
  • 国費留学生(大使館推薦による)
  • 外国人留学生の教育訓練受託事業
  • EPA(経済連携協定)に基づく看護師・介護福祉士候補者
  • 特定技能外国人
  • 特定活動告示第55号(特定自動車運送業準備)
  • 家事支援外国人材受入事業(国家戦略特区法)

👉 特定技能外国人については当面の間、スクリーニングは免除されていますが、将来的な変更には留意が必要です。


結核非発病証明書の概要

  • 日本国政府が指定する国外の「指定健診医療機関」にて検査・発行
  • 証明書の有効期間は検査日(胸部レントゲン撮影日)から180日間
  • 在留資格認定証明書交付申請時に有効期限内である必要あり

※ 証明書取得までに一定の日数を要しますので、申請スケジュールには余裕を持って準備することが重要です。


制度の導入スケジュール

対象国籍提出義務開始日
フィリピン・ネパール | 2025年6月23日
ベトナム | 2025年9月1日
インドネシア・ミャンマー・中国 | 現在未定


注意ポイント!

  • 事前準備の重要性
    指定医療機関での検査予約、証明書取得に時間を要するため、招聘企業や本人に対して早めの案内が必須です。
  • 申請書類の確認強化
    提出期限を過ぎての申請では不受理となる恐れがあります。特に認定証明書申請のスケジュール管理が重要になります。
  • 在留資格申請代行時の説明責任
    受入企業・本人双方へ新制度の趣旨・必要書類・スケジュールを丁寧に説明することで、トラブル防止となります。
  • 将来的な対象拡大の可能性
    現時点で特定技能外国人は除外ですが、今後の制度改正で対象拡大の可能性もゼロではありません。最新情報の定期確認が必要です。